2016年08月09日

[JR北海道]秋にも「自社での維持困難」路線を挙げ、上下分離やバス転換含めて地元と協議へ。夕張市は条件付きで廃線容認

 JR北海道は2016年7月29日の記者会見で、現有する路線のうち、今年秋までに自社単独での維持が困難な路線を挙げて、値上げや上下分離、廃止なども含めて、今後の維持に向けて地元と協議する考えを明らかにした。今後の議論の進行によっては、鉄道網が大幅に縮小される可能性がある。
 発表された「持続可能な交通体系のあり方について」と題するプレスリリースによると、JR北海道の経営環境が「非常に厳しい」中で、安全な鉄道サービスを維持するための「費用をどう確保するのか」と、そもそも鉄道を維持すべきかどうか、の2点について、各線区の地元と相談したいとしている。
 北海道新聞はこれを報じた記事の中で、「維持困難」の基準について「輸送密度2千人未満の線区」と推測し、16線区が対象になるのではないかとの見込みを示している。16線区に含まれるのは、宗谷本線、石北本線、釧網本線のほか、函館本線の山線区間(長万部−小樽)など。実際に、JR北海道の発表資料によると、現在、輸送密度が「2000人級」の路線では、施設の維持費がまったく捻出できていないという。
 また、これも北海道新聞によると、夕張市は8月8日、石勝線新夕張−夕張間の廃線を容認する代わりに、JR北海道に対して、交通体系の見直しへの協力、JR所有施設は市への無償譲渡の検討、社員を市に派遣の3点を要求する姿勢を示しているという。
 ここから私見。JR北海道の経営状況や、分割民営化を含めた歴史について、いろいろ考えたものの、やはりなかなか軽々しく発言できないですね。国鉄時代に「本線」と名がついた路線が、ここまで不採算で瀕死にあえでいるというのは、本州では現時点でまだ起きていません。
 些末なところの感想を挙げると、JR北の資料にある、輸送密度が低い路線はまったく「エコ」じゃないよという説明や、倶知安駅の運行管理システムは未だにPC98を使っている、という現状の提示は、わかりやすくかつ生々しいですね。とはいえ、それもとっても些末な話ですが。

(JR北海道)
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160729-1.pdf
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160729-2.pdf
(北海道新聞)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0298769-s.html
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0302144.html

この情報は、京王線利用者さん、kokoさん他の皆様からいただきました。ありがとうございました。
タグ:JR北海道
posted by Uchio at 23:33 | Comment(194) | TrackBack(0) | ニュース はてなブックマーク - [JR北海道]秋にも「自社での維持困難」路線を挙げ、上下分離やバス転換含めて地元と協議へ。夕張市は条件付きで廃線容認 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする