報道各社によると、JR東日本は2014年8月19日、羽田空港アクセス新線について、国交省によるいわゆる「交通政策審議会による答申」を検討する小委員会で、報告した。また、JR東日本傘下の東京モノレールも、この小委員会に出席し、東京駅への延伸構想を説明した。
交通新聞(8/21付紙面)によると、羽田新線構想の基本は、東京貨物ターミナルからほぼ一直線に国内線ターミナル直下をめざした5.7キロの地下新線を建設する。国内線ターミナル付近の新駅は、地下40メートルになるという。東京貨物ターミナルからは3つのルートに分かれ、臨海部ルートは、りんかい線の回送線を複線化して、東京湾下でりんかい線本線に合流し、新木場に向かう。東山手ルートは、休止中の大汐線(東海道貨物線)に接続して、田町付近で東海道線に接続させる。西山手ルートは、大井町付近のりんかい線シールドトンネルを囲んだ函体を設けてシールドを撤去する手法で分岐部をつくり、東京貨物ターミナルへの新線へつなぐ。工期は設計手続き3年、工事7年を見込んでいるという。
また東京五輪に間に合わせるために、臨海部ルートの暫定開業も検討。羽田空港への新線の途中に暫定駅を設置し、そこからバスによる空港アクセスを実現する。その場合、工期は4年の見通しだという。また、当初の計画では国際線ターミナルに寄らず、そのあと国内線ターミナルから延伸することを検討するが、それにはさらに数百億円かかるという。
一方、東京モノレールの説明については、東京新聞がこう報じている。延伸区間は浜松町から東京までの約3キロ。山手線の西側に沿って高架橋を建設、東京駅では東海道線の上空にホームを設置する。建設工事は10年で、事業費は1095億円だという。朝日新聞によると、今後、国や東京都などと建設費の分担などをめぐる協議が必要で、まだ具体的なことは決まっていないという。東京モノレールは過去にも延伸を検討していて、それに沿ったものだと思われる。
ここから私見。いずれも、新しい「答申」にむけたヒアリングということで、これをもとに実現に向けたやる気の有無を論じるのはあまりにも野暮ってもんでしょう。東京五輪開催決定を機に、羽田の利便性向上が国と都があわせて3分の2を負担する利便増進法のスキームが、空港アクセスにも適用されやすそうなの中で、名乗りを上げておくというレベルなのだと思います。ただ、どなたかが書かれていましたが、「蒲蒲線」のヒアリングに、東急が来ないのが気になります。これは、つまり東急は事業者になる気すらないのではないかと思います。つまり、大田区を中心とした第3セクターが事業者になり新線を開業してくれたら、第2種鉄道事業者として運行しないでもありません、的なところなんでしょうか。
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014082102000148.html
(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASG8N5KK2G8NUTIL02T.html
この情報は、くろださん、仙川さん他の皆さんからいただきました。ありがとうございました。
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過去にも何度か話が持ち上がった東モノの「東京駅延伸計画」ですが、今回が最後のチャンスになるかもしれないと思っています。
JR東の「羽田空港アクセス線構想」が仮に実現すると、東モノの「東京駅延伸計画」は吹き飛んで跡形も無くなってしまうでしょう。ただ、そうなった場合でも、東モノが廃線になることは無いと思います。通勤路線や観光路線として残ると思っています。
でも、JR東の「羽田空港アクセス線構想」と比べると、今回も分がいいとは言えないですね、東モノの「東京駅延伸計画」。
東モノの「東京駅延伸計画」が「答申」に反映される為には、どんな策、あるいはウルトラCがあればいいのでしょうか。。。
何かいい提案があったら、教えて下さい。皆で考えてみましょう(笑)
JR東グループ内のことゆえ、当て馬観測も有りそうですが。
ここでは積極活用で考えて見ます。
キーは羽田国際線ターミナルではないかと、、、
現ターミナルは今般拡張済みですが、既に満杯。
今後増発を捌くためには、沖出し展開の巨大国際ターミナルが必要になります。
位置は未定なので、JRアクセス新線の暫定終点は国内線なのでしょう。
東京駅からの到達時間を比較すると、
JRアクセス新線(国内線まで)・・・18分
モノレール(国際線まで)・・・・・・18分
偶然同じです。よって、2系統を国内・国際で使い分けることが可能です。
さらに、首都圏遠近で使い分けを考えれば、
■JRアクセス新線・・・中距離特急「羽田エクスプレス」主体。イメージは両開き3ドアNEX?
■モノレール・・・・・・都区内主体の従来型
航空旅客は手荷物を帯同するので、混んでいる電車は苦手です。
荷物が置ける電車を選択できればありがたいですね。バスが繁盛するのはこのへんかと。
それにしても、
京浜東北の北行きで浜松町→東京を確認すると、どのようにしてモノレール複線の鉄柱を立てるのか心配です。浜松町から田町付近の線路余地があるところとは全然違います。
同じグループ内の事業会社ですから調整は済んでるのでしょうが、、、
オリンピックが近い事もあってこの時期で言い出した事にしては、工期が10年では何故急にこんな事を言いだしたのかが傍目には理解できませんが…ゴロニア787さんの仰るように国際線ターミナルの需要取り込みだったり、あるいはJR羽田新線は広域輸送として、東京モノレールは東京や浜松町を拠点とした輸送、と言うように棲み分けを狙っているのでしょうか。
http://www.mlit.go.jp/common/001052936.pdf
http://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo01_hh_000086.html
第5回交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会
・京浜急行電鉄株式会社
・東京急行電鉄株式会社
http://www.keikyu.co.jp/company/20140904HP_14102NN.pdf
羽田をめぐる競争が活発化していますね。エアポート快特の所要時間が1分短くなるようです(実際は15秒とか30秒だと思いますが)。
個人的にはエアポート急行の全8両化を期待していたのですが・・・6両と8両でバラバラなのは普段京急を利用していない空港客には(普段使いの客にも)わかりづらいです。また、6両でさばけるならそもそもなんで急行停車駅のホーム延伸までしたのか・・・
有難うございます。そうだったみたいですね。
http://www.news24.jp/articles/2014/09/05/07258584.html
案そのものはこれまで語られている話しどおりのようですし、JR新線と比べての優劣といった議論はあるかもしれませんが、それはさておき、事業者の口から具体的な計画が語られると少しは前向きにとらえることができそうですね。
東急は決算説明ではこれまでも言及していましたが、こういう形ではあまり聞いたことがなかったので、とうとう役者がそろったような印象があります。
個人的にはぜひ実現してほしいので、楽しみです。
JR新線の話題性に持って行かれた感もありますが、東急としては、新宿・渋谷方面〜羽田の客をJRに取られないように、蒲蒲線を何が何でも実現したいのでしょう。
昨日のヒアリングには東急はじめ京急・都営・京成の各社が呼ばれましたから、少なくとも東急はやる気満々ではないかと。
それどころか、一説には、水面下で東急は京急に(空港線内の)改軌を強力に迫っているとの噂もあります。
京急空港駅手前のシーサスクロッシングを4線軌条化できれば良いのでしょうが。
蓋を開けてみれば、都市鉄道等利便増進法の適用を受けられるのは、残念ながらJR新線は外され、蒲蒲線と都心直結線の2つだけに落ち着く可能性が高いと私は予想してます。
東急は昔から霞ヶ関との太いパイプがありますし、都心直結線は羽田成田の一体運営を盾に国交省自身がやる気を出していますから。
その昨日の国交省での会合に前後して、
東急は蒲蒲線の事業化を申請したとの報道も出ているようです。
今の所、ペース的にも実現性でも一番なのは蒲蒲線かなと個人的には思います。
JR新線は話題性は抜群でしたが、JR東が発表した通りに京急空港駅直下に駅を新規建設するのは、コストのみならず、技術的にかなり難易度が高いと考えます。
現京急・モノレールの国内線ターミナル駅や線路は現空港ターミナル建設と一体でなされたものであり、周辺は軟弱地盤ですから、その下に新規にトンネル掘るというのは、かなりのリスクも伴います。
何より、国内線ターミナル付近の鉄道駅・駅間トンネルは国有財産扱いですし、国が首を縦に振らない限り建設にGoサインは出ません。
(既に、国交省航空局長が安全性等の面から京急駅直下のJR新駅の建設には否定的な見解をしているとの話もどこかで耳にしたような気が…)
東京貨タ〜天空橋間での貨物列車との競合調整のハードルはあるものの、個人的にはやはり前から主張しているように、モノレールを浜松町〜天空橋に短縮して、天空橋〜空港第2ビル間のトンネルをJR新線に転用するのが一番現実的かなと考えます。
議事概要の情報有難うございます。
東京モノレールの説明概要のなかに、「開業以来50 年間お客様死傷事故0 件、1 列車平均遅延時分(平成25 年)10秒以下という実績」があります。やはりこの安定感は大きなポイントかなと思います。
そうして見ていたところ、昨日の日経新聞に東京モノレールの社長インタビューがのっていました。
「【記者】親会社、JR東日本が羽田新線構想を発表しました。すみ分けは可能でしょうか。」
「【社長】天候に左右されない安定性、高頻度での運転が当社の強みだ。ほかの路線と接続していないから、(事故などで)ダイヤが乱れることもほとんどない。羽田への重要なアクセス路線との認識はグループ内で一致して持っている。モノレールは国際線のカウンターには降りて1分以内でたどり着ける。新たな沿線の開発計画もあり、空港の利用者も増えるだろう。モノレールを利用してもらうためにも付加価値の高いサービスを生み出したい。」
とのことでした。
ゴロニア787さま、ポストJRさまのおっしゃっていた
>■モノレール・・・・・・都区内主体の従来型
>国際線ターミナルの需要取り込みだったり、あるいはJR羽田新線は広域輸送として、東京モノレールは東京や浜松町を拠点とした輸送、と言うように棲み分け
という点と整合しているように思います。
自分もよく浜松町から乗りますが同感ですし、浜松町の駅の(貿易センタービル建替と連動した)大規模改良で乗り換えがしやすくなれば、さらに利便性は増すと思います。(そこから新橋方向への延伸時にどうやってレールをカーブさせてもう一回JRの線路をまたぐのかは想像つきませんが・・・)
東京までの延伸が、今回の答申で積極的推進の対象となるかどうかはさておき、6割を空港輸送で占めていて遅延が少ない、という安定性は重要と思いますので、少なくとも今後モノレールの役割が減るようなことはないように感じます。
旧運輸政策審議会18号答申につぐ「東京圏における今後の都市鉄道のあり方」について
2014年4月18日に国土交通大臣の諮問をうけ、現在審議中
第1回(2014年6月5日)
交通政策基本計画の策定に当たり鉄道分野で留意すべき事項について
東京圏における今後の都市鉄道のあり方について
・今後の検討の視点について
http://www.mlit.go.jp/common/001042926.pdf
・ワーキング・グループの設置について
『需要評価・分析・推計手法ワーキング・グループ』を設置
・今後の進め方について
国際競争力強化、オリンピック・パラリンピック大会への対応は(中略)優先的に検討・・・
まず、空港アクセス等について関係者からのヒアリングにより、その検討状況の把握等をすすめ・・・
http://www.mlit.go.jp/common/001042927.pdf
第2回(2014年6月30日)
空港アクセス等についての関係者からのヒアリング
・新空港線「蒲蒲線」について(大田区)
・地下鉄8号線延伸(豊洲〜住吉)について(江東区)
議事概要
http://www.mlit.go.jp/common/001048032.pdf
第3回(2014年7月22日)
空港アクセス等についての関係者からのヒアリング
・今後の航空需要の見通し等について(航空局)
・都心直結線について(鉄道局)
議事概要
http://www.mlit.go.jp/common/001049407.pdf
第4回(2014年8月19日)
空港アクセス等についての関係者からのヒアリング
・東日本旅客鉄道株式会社
・東京モノレール株式会社
・東京地下鉄株式会社
議事概要
http://www.mlit.go.jp/common/001052936.pdf
第5回(2014年9月5日)
空港アクセス等についての関係者からのヒアリング
・東京都交通局
・京成電鉄株式会社
・京浜急行電鉄株式会社
・東京急行電鉄株式会社
議事概要
http://www.mlit.go.jp/common/001055315.pdf ←NEW!
第5回(2014年9月17日)
今後の審議の進め方について
・今後の審議スケジュールについて
http://www.mlit.go.jp/common/001055241.pdf
・ワーキング・グループの追加設置について
『遅延対策』と『駅空間・防災』のワーキング・グループを設置
空港アクセス等についての関係者からのヒアリング結果について
ヒアリング結果のまとめは資料非公表
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_arikata01.html
別スレにもありましたが、京急としては全然メリットがない施策なので、京急の譲歩が得られなければ東急としても得にならず、結局は大田区のためだけの施策になりそうなんですよね、蒲蒲線は。
先日の小委員会の議事要旨が出ましたね。
各路線案への具体的な言及はないですが、結構前向きなコメントが多くて力強いです。⇒以下はわたしの願望ですので聞き流してください。
・長期的な視点から路線の意義を考えるべきである。
・空港アクセスとしては、単に事業採算性から見るのではなく、都内の拠点駅への速達性など国際的にアピールポイントになるようなサービス水準の視点も重要。
・事業性のみならず、代替性(リダンダンシー)やサービス水準、都市開発とリンクした場合の意義を考えることも重要である。
⇒採算性だけでない?いろいろ作ってもいいの?JR新線は東京駅速達性があるしやっぱり捨てられないですよね?都市開発とリンクってことは芝浦新駅やお台場?
・空港アクセスだけではなく、都市内交通ネットワークの機能向上の面からの評価も必要である。
⇒混雑率低下に寄与する都心直結線?
・前回の答申までの議論では、鉄道不便地域の解消など東京圏の鉄道ネットワークをマクロな視点から考えることが主流であったが、ミッシングリンクの解消によって都市鉄道の大きな機能向上を期待できるという、これまでの議論とは異なる意義も考えられる。
⇒ミッシングリンク?⇒蒲蒲線?
・2020 年東京オリンピック・パラリンピックだけでなく、今後の首都圏空港の容量増大やリニア新幹線の開業なども見据えていく必要がある。
⇒やっぱり品川?⇒都心直結線?
本当にそうかどうか、良いか悪いかは別として、いろいろと見てみると、建設を後押ししてくれそうなコメントが集まったように思います。
この小委員会の議事要旨を見ると、JR、浅草線東京駅延伸、蒲蒲線などの選択肢は一応残しておきましょう、みたいな感じがしました。
特に蒲蒲線に関しては「これまでの議論とは異なる意義も考えられる」といったかなり弱い発言になっています。正直、蒲蒲線は優先順位が一番下になってしまったと私は受け止めています。
東京〜新橋〜今井間ついに開業目標を示唆
東京湾縦貫線という名で2020年代春開業目標へ
東京駅は1、2番線ホームを予定とし中央線快速との直通を予定
コメント有難うございます。
>この小委員会の議事要旨を見ると、JR、浅草線東京駅延伸、蒲蒲線などの選択肢は一応残しておきましょう、みたいな感じがしました。
>正直、蒲蒲線は優先順位が一番下になってしまったと私は受け止めています。
なるほど、そういう見方もあるのですね。かまちゃんさまもコメントされていましたが、オリンピックまでの蒲蒲線整備は難しい、という報道が複数ありましたので、蒲蒲線の早期整備はたしかにきびしいのかもしれませんね。
小委員会の議事要旨を額面通り受けとめてしまい、少し舞い上がってしまいましたが、現実的には少し割り引いて考えてみる必要があるのだと理解しました。