国交省の諮問機関である交通政策審議会による、首都圏の鉄道新線計画の答申が16年ぶりにまもなく出される見通しだ。審議会では、2014年5月から「東京圏における今後の都市鉄道のあり方」と題した検討を進めてきた。当初のスケジュール通りであれば、2015年度中にも答申が出される見込みだ。
この審議会(以前は運輸政策審議会)は、1968年以来これまで4回にわたって、整備すべき新規路線とその優先度について、答申をまとめてきた。以後、新線のほとんどは、過去の答申に沿って建設が進められてきた。たとえば、1968年の答申では、(のちの)東京メトロ半蔵門線と都営地下鉄大江戸線が、1972年の答申では東京メトロ副都心線が、1985年の答申ではJR京葉線、つくばエクスプレス(TX)などがそれぞれ新規に盛り込まれた。前回の答申(運輸政策審議会答申第18号)は2000年1月27日で、16年前になる。
今回の検討はすでに1年半を超えている。予定では、3月までに答申が出される見込みで、現在は最終段階にあるようだ。国交省のサイトによると、2016年に入って2回立て続けに会議が開かれた。1月15日の回では「東京圏の都市鉄道において今後特に対応が必要な課題」という資料が配付され、その中で「重要性が特に増大している課題」として、空港アクセス改善に加えて、新幹線やリニアへのアクセス改善が盛り込まれている。1月27日の回では、品川駅と橋本駅へのアクセスの現状についてまとめた資料が配られている点が注目だ。
羽田空港の新アクセス鉄道は、これまでいくつもの計画が挙がっているが、審議会では、関係する鉄道事業関係者や関連自治体のヒアリングが行われた。さらに、東京都が独自に新線計画を評価して優先順位をつけるなど、この答申に向けた動きもみられたが、その辺りがどれほど答申に反映されるのかも見所だ。
ここから私見。これまでの答申は基本的に、首都圏の鉄道需要が将来的に右肩上がりという状況下でのものでした。今回は、需要が減少に転じつつあり、JR含めた民間の鉄道会社には大規模投資が難しくなってきている中での答申になります。どういった形になるのでしょうか。どの地域にも均衡のある発展を目指すということはやめて、重点的な拠点のみに絞り込むといったことになるのかもしれません。配付資料をみても、純粋な新線計画というよりも、既存路線の速度向上や遅延防止、直通運転化などといった項目が目立ちますね。これまでの答申でも、既存路線の改良が挙げられてきましたが、今回はこちらの比重が増えるのかもしれません。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_arikata01.html
この情報は、るびすさんからいただきました。ありがとうございました。
2016年02月08日
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ハード面に関しては、速達性について小委員会の資料において言及があったことで、若干の願望が残っています。東京都西部が表定速度が低い、そして、小田急線、東西線、田園都市線、京王線の4線が表定速度40km/h未満とされています。ご案内のとおり、そのうち小田急線はもうすぐ複々線化工事が終わり、京王線も複々線化に先立つ立体化の事業がまさにちょうどはじまったところです。東西線も、南砂町2面3線化や折り返し線整備などが進んでいます。
そうすると、一応残るは田園都市線ということになるので(大井町線・目黒線バイパス化も限界・・・)、なんとか思い切った施策を打ち出してほしいです。昨年末発売の鉄道ピクトリアルで東急の役員さんが、渋谷駅ホーム拡幅は支障物多くて困難と言っていて、2面3線化もかなり時間がかかる、さらに複々線化は、田園都市線と一体の首都高3号線の更新工事が別に進んでいる(都市計画変更手続がすでに始まっている)とすると、別の方策を期待してしまいます・・・。(超妄想路線としては、このコメント欄でも以前話しに出ていましたが、日比谷線を中目黒から(日吉駅みたいな方式で)二子玉川地下まで駒沢通り下を中心に延伸、田園都市線の急行線と直結。大井町線は大井町−二子玉川間にして、田園都市線と二子玉川での対面乗り換えのみにする・・・。なんて、失礼いたしました。答申が出る前の超妄想なんで無視してやってください・・・)。
いずれにしても、上記のような速度についての情報を小委員会の資料として出すということは、何らかのハード的な方策を出す伏線だと思いたいです・・・。