JR西日本は、2022年3月12日のJRグループ一斉ダイヤ改正の内容を発表した。
京阪神の主要路線では、平日朝ラッシュ時に減便をおこなう。JR西日本のリリースでは、最ピーク帯は減便しつつも、運転間隔をできるだけ揃えるとしている。
近郊の多くの路線では、日中や夜間にも減便がおこなわれる。大阪環状線などでは、終電の繰り上げも行われる。
大阪環状線・JRゆめ咲線■大阪発天王寺ゆきの終電繰り上げ
大阪環状線は、平日朝7〜8時台に内回り4本と外回り2本を削減する。4分間隔に揃えるという。
平日10〜12時台と20時以降に、大阪環状線とJRゆめ咲線(桜島線)を直通する列車を削減する。ただし、JRゆめ咲線内の運転本数は変えない。
平日・土休日ともに16時以降、大和路線・阪和線との直通列車を減便する。
終電の繰り上げも行われる。大阪駅起点では、外回りも内回りも天王寺ゆき最終は0:02発となる。外回りは6分、内回りは9分繰り上がる。2021年春のダイヤ改正で、JR西日本の多くの区間の終電が繰り上げられたが、ここはほぼ変わっていなかった。天王寺駅起点では、外回りの最終(大阪ゆき)が6分繰り上がって23:58発に、内回りの最終(同)が16分繰り上がって、23:48発になる。
JR京都線・琵琶湖線■日中の米原発着の新快速が草津発着に短縮
JR京都線(東海道線)は、平日朝6〜8時台の下りで、快速1本と普通4本を削減する。最ピーク帯では普通は5分間隔となる。高槻駅起点下りでは、新快速については7時台を1本増やし、8時台で1本減らす。
9〜10時台に、京都発着の列車を一部、高槻発着に短縮する。
平日夜には、新快速1本(大阪18:52発野州ゆき)を削減する。
琵琶湖線では、平日・土休日ともに日中9〜15時台に、米原発着の新快速(毎時1本)を草津発着に短縮する。野洲−米原間は、日中毎時、新快速1本と普通2本となる。
JR神戸線■平日夜に新快速2本削減
JR神戸線(東海道・山陽線)は、平日朝6〜8時台に、上りの快速1本・普通2本と下りの普通1本を削減する。普通は最ピーク帯で5分間隔となる。
平日15時台に、西明石発着の列車の一部を須磨発着に短縮する。
平日夜に新快速2本(大阪18:52発、19:07発。いずれも網干ゆき)を削減する。
JR宝塚線■平日、土休日ともに夜間に減便
JR宝塚線(福知山線)は、平日朝6〜8時台の上りで、快速1本を減らす。快速は最ピーク帯は7分間隔となる。
平日の20時以降に減便をおこなう。
土休日の朝9時台と19時以降に、減便をおこなう。
JR東西・学研都市線■区間快速の運転時間帯を拡大
JR東西線・学研都市線(片町線)では、平日10時台に、区間快速運転時間帯を拡大する(快速からの置き換えや、長尾発着の普通の四条畷発着への短縮などが含まれると思われる)。
平日・土休日ともに11〜14時台に、木津発着の列車のうち毎時1本を同志社前発着に短縮する。同志社前−木津間は毎時1本となる。
平日19時以降に尼崎−京田辺間を中心に減便をおこなう。
土休日の16〜21時台に京橋−四条畷間を中心に減便をおこなう。
大和路線■朝ラッシュ時は普通は12分間隔に
大和路線(関西線)は、平日朝7〜8時台の天王寺方面で、快速2本、普通4本を減らす。普通は約12分間隔となる。
平日16〜21時台に、王寺発着の列車の一部を柏原発着に短縮する。
平日・土休日ともに19時以降に減便を行う。
阪和線■18〜21時台の普通は15分間隔に
阪和線は、平日朝7〜8時台の上りで、快速4本を減らす。快速は最ピーク時は6分間隔となる。
平日・土休日ともに8〜10時と16〜17時には、区間快速の運転時間帯を拡大(快速からの置き換え?)し、減便も行う。同じく10〜15時の区間快速は、日根野発着から熊取発着に短縮する。
夜間には、平日・土休日ともに18〜21時台の普通の運転間隔を現行の12分から15分に伸ばす。同じく17〜19時台の和歌山発着の快速(日根野以南も通過運転)を、日根野発着に短縮する。
湖西線■日中の普通を近江舞子発着に短縮
湖西線では、平日・土休日ともに日中10〜15時台に、近江今津発着の普通(毎時1本)を近江舞子発着に短縮する。近江舞子以北は毎時1本となる。
草津線■日中は毎時1本に
草津線では、平日11〜14時台に草津−貴生川間の列車(毎時1本)を削減する。この時間帯は全線で毎時1本となる。
平日・土休日ともに20時以降に、草津−柘植間で減便する。
また、草津発の終電を23分繰り上げて、23:31発とする。
嵯峨野線■日中の普通を亀岡発着に短縮
嵯峨野線(山陰線)では、日中11〜15時台(土休日は12〜15時台)に、園部発着の普通(毎時1本)を亀岡発着に短縮する。亀岡以北は毎時1本となる。
土休日の18〜21時台に、京都−園部間の列車を減便する。
加古川線■日中に減便
加古川線では、日中に加古川−厄神間の列車を、平日は上下計13本、土休日は上下計6本、それぞれ削減する。
和歌山線・万葉まほろば線■日中の運転系統を変更
和歌山線では、平日11〜14時台に王寺−高田間の列車の半数(毎時1本)を削減する。この区間は毎時1本になる。
万葉まほろば線(桜井線)では、平日11〜14時台に奈良−桜井間の列車のうち毎時1本を削減する。この区間は毎時1本になる。
また、平日・土休日の日中の運転系統を変更する。和歌山方面との直通列車は現在、高田を経て奈良方面とつながっているが、これを王寺方面の列車に切り替える。
2022年3月12日ダイヤ改正に関する記事の一覧はこちらです
(JR西日本の全リリース)
https://www.westjr.co.jp/press/article/2021/12/page_19144.html
(近畿統括本部)
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/211217_05_keihanshin.pdf
(和歌山支社)
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/211217_05_wakayama.pdf
この情報は、ななさんからいただきました。ありがとうございました。
9月の京都新聞の記事では亀岡~園部の減便は平日のみでしたが、土休日も減便となりましたね。。
福知山支社
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/211217_05_fukuchiyama.pdf
4/28〜6/20,8/2〜9/30にも緊急事態宣言等に伴う運転取り止めとして終電繰上げが実施されておりました。
その緊急事態宣言下と改正後のダイヤで比べますと、内回りは同じですが外回りが多少異なりますね(※緊急事態宣言下では、外回り天王寺0:04発普通大阪行きを運休,同23:58発関空/紀州路快速京橋行(大阪0:15発)を大阪止まりに短縮、としておりました)。改正後は緊急事態宣言下と異なり、車両運用や利便性を考慮したダイヤになった、ということでしょうね。
湖西線はコロナ前からこんな状態ですが、小野〜比良が捨てられたんだな、という理解はできました。今回の琵琶湖線は、新快速停車駅は駅時刻不均等→京都からの有効列車まあまあ均等、新快速通過駅は駅時刻均等→京都からの有効列車不均等となっており、どこを揃えたいのかコンセプトが見えません。
通過運転をやめたくなかったからこそのダイヤだと感じます。新快速停車かどうかで利用客数も全然違うし、仕方ない気はします。
新快速停車駅と通過駅は利用者数が大きく違いますし、野洲~彦根の新快速通過駅は5駅ですが、新快速は高速運転しているので同区間の所要時間は20分と快速に比べ9分短縮しており、利用者の多い彦根・米原・長浜と大津・京都間の利便性を考えますと、野洲以東で通過運転を取りやめるのは考えづらいですね。
01快速米原
16快速野洲
21新快速塩津
31快速米原
36新快速野洲
46快速野洲
51新快速米原
これをベースに、草津より東を20分間隔に近づけると、時間調整をしないと下記のような15分・20分・25分間隔の組み合わせになると思います。
01快速米原
21新快速塩津
36新快速野洲
どこかで時間調整をすると京都や大阪との間の所要時間が伸びます。また、3本とも野洲以東は各駅停車が前提でしょうから、皆さんが指摘されているように、長浜や敦賀などの遠距離からの所要時間が伸びてしまいます。これらを避けて3本/時にすると、改正案のようになってしまうのでしょう。
私が気になるのは新快速が下りなら、
塩津行<15分>野洲行<15分>草津行<30分>塩津行
のサイクルになることです。
こうなると、例えば大阪あたりからの守山と野洲への新快速利用は、野洲行を逃すと45分!空いてしまいます。野洲行と草津行を交換できないのかと思いますし、できない事情は何なのかと思います。
JR西はもちろんこれに気がついているでしょうが、少なくとも今回の改正では実現しません。
理由として思いつくのは、
@手間がかかり、コスト削減と合致しない
A草津線は単線なので、新快速の遅れへの対応が負担になる
B利用者が戻ればダイヤも戻すつもりだが、一旦直通させて地元に根づいてしまうと戻しにくくなる
です。
理由がBなら、当面は仕方ないと思います。しかし、不幸にして戻りが期待できないことがはっきりしたら、減便による利便性の低下を補う工夫として、直通を実現してほしいですね。
琵琶湖環状線のことを考えるとまぁやむを得ないんでしょう。
近江塩津の折返し時間調整で間隔はきれいにできんでしょうが、
運用削減のために改正していることを考えれば
逆行することになりますし。。。
Bangkokさん
>沿線に歓迎され需要喚起
具体的にどんな需要が喚起されるんでしょうか?
仕事で草津線は使うのでそれなりに知っていますが、
正直、日中に新快速が走ることで喚起できる需要なんてない気がします。
そもそも、草津の引上線は4番線しか入れません。
一方で草津線からの入線で増結に対応しているのは
草津線の2番線のみなので、草津で折り返すなら
草津増解結は物理的にできない話です。
引き上げ線を使わず野洲まで回送するなら最初から野洲行でいい話ですし。
さて需要喚起ですが、草津線沿線は京都・大阪方面とつながりが深いので、高齢者の人口比が高まる中での昼間の買い物や行楽や、沿線へのビジネスなどがあると思っています。私はそうは思いませんが、しんさんが書かれたように、新快速でも喚起できる需要はないとなれば今後なかなか大変ですね。
上りは5番線に入って解結し、草津線直通が出発したあと、残りが引き上げ線に入る
下りは引き上げ線から先に入ったあとに、草津線直通を後ろに連結し、発車する
を想定しています。ネットでみる配線図では、5番線から引き上げ線に入れるようにみえますが違うのでしょうか?
新快速野洲行きは野洲で快速米原行きに接続しているので、変更しないのではないでしょうか。
京都発の近江八幡以遠の新快速停車駅への有効列車は、0(新快速近江塩津)・15(新快速野洲)・37(快速米原)と、最長間隔は今と同じ23分に抑えられています。
207系さん
現米原行き新快速を草津以遠各停とすると、新快速の運用本数は増えてしまうことや、新種別(区間新快速?)の設定に消極的なことが考えられそうです。
また、野洲以遠の各停の間隔が20-40となり、京都発の近江八幡以遠の新快速停車駅への有効列車も0・15・30(区間新快速米原)と、最長間隔は30分に拡大します。
コストカットのために減便・区間短縮するのに信号回路改造、増解結のための要員配置など費用をかけるのは非現実的ではないかというのが個人的印象です。
@野洲行き新快速を近江今津行きに変更
A現野洲行き快速と湖西線直通新快速を京都で接続させる
B現米原行き快速の半数を野洲止めにする
そうしないと米原・彦根―大阪・京都の直通客がマイカーや新幹線に逃げてしまいます。
余談ですが、改正で運転再開となるはるか7/10号は現在臨時列車扱い(上記本数に含まれていない)なので、定期化ということになるかと思います。
大雪で27日・28日とほぼ二日間止まっていた琵琶湖線線野洲以北ですが、翌29日午前中に所用があって野洲から米原まで乗りました。雪は野洲では全くなく、近江八幡でも雪はどこ?という感じです。安土でようやく家陰にちらほら見え、能登川で10p程でした。その後は稲枝、河瀬と一気に増えてニュースでみたとおりの景色になりました。
ですので、篠原・近江八幡・安土各駅の利用者は、上記程度の積雪にもかかわらず、2日間電車が来なかったことになります。安土や近江八幡の配線を利用して、できれば安土、せめて近江八幡までは1,2本/時でも運転できるように整備できないかと思います。米原や彦根で大雪が降ったら野洲までしか行かないよ、というのは割り切りすぎでしょう。他線でも天候に限らず事故や故障の際に「何でここまで止まるの!?」と問題になり、合理化が行き過ぎたと見直している線区があったと記憶しています。京浜東北線だったかどこだったか……。
先週、新快速を草津止まりにするなら草津駅で解結・連結して草津線に直通させたらどうかと書いた際、「信号機が対応していないのでできない。そのための追加費用や手間をかけるほどの需要は見込めない。コストカットに反する」といった意見をいただきましたが、似た話ですね。
その草津線については、地元が要望する複線化はそれこそ需要から見て無理だと思いますが、ずっと安価な新快速を直通させる(草津線内本数は変えずに線内折り返しを置き換える)のには、対応してほしいと思います。赤穂線では直通は減らしながらも続けていますし。
利便向上の視点を中心に書いていることが多い気がしますが、引き続きコメントをいただければ幸いです。そして何度かお願いしていますが、その際には私が書いたことへのコメントとあわせて「自分はそのことについては〜〜すべきと考える(何もしないのがよいを含む)」を併せて書いていただけると嬉しいです。前後関係から「ということは現状でよいという意見だな」と推測できることもありますが、あくまで推測ですから。
本年もよろしくお願いいたします。
今回のダイヤ改正とは直接の関連はありませんが、一つ気になったニュースをお知らせします。
【和歌山支社、福知山支社/岡山支社、広島支社、米子支社】早ければ本年10月にも組織再編の見込み。
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20220112/4000015847.html
https://www.sankei.com/article/20220112-A3NR52UYW5IKHEUVY77MI57WIA/
和歌山支社と福知山支社は近畿統括本部に集約、中国地方の3支社をに統合して「中国統括本部」を広島に設置する方針とのことです。
今度の改正以降もコストダウンは待ったなしでしょうか。長谷川一明社長もローカル線見直しに関してかなり厳しい見解を示していますので…
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=823673&comment_sub_id=0&category_id=256(長谷川社長のコメント、会員限定記事)
このほかしらさぎ55/58号は2/1から運休となっていますが、おそらく以前は書いてなかったと思います。
随分頻繁に運行予定が変更されてますが、いちいち行路を書き直してるんですかね。きっぷの払いもどしもあるでしょうし、現場従業員にしわ寄せが行っていなければいいんですが。
https://www.westjr.co.jp/press/article/2022/02/page_19424.html
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220210_06_tsurugi.pdf
https://www.jr-odekake.net/
https://news.yahoo.co.jp/articles/6717205ab1820759ebd32a919b2dffea5914bd23
おおさか東線・大和路線201系置換えに伴って奈良区の221系増加したことで運用が効率化されて、予備として残っていた103系を捻出可能になったと理解していますが、どうなんでしょうね。
大和路線も減便になっていることで221系8連が捻出されているって話もききます。
今回の改正でも高田直通がさらに減っていることや大阪側は朝も夕方も快速が減っているので4+4の
8両運用を削れば奈良線用の4両も捻出できるでしょう。
阪和線では4+4の快速が6両の快速に
置き換えられて4両運用が減っているようですし。
そういう形の捻出かもしれません。
余談ですが日根野の223は何本か京都に転出するのかもしれません。
(今日向日町でお休みしている223-2500を見たので)
他にも宝塚線快速が223/225から207/321に
置き換わったりしているようなので
その辺りから223を京都に移して国鉄型を置き換えるのかもしれません。
網干に残る221系は来年度中に転籍して201系の残りを
置き換えるわけですが
本数的には205系まで置き換えられます。
205系の処遇はどうなるでしょうね。
日根野から京都へ移された223-2500ですが、すでに編成番号が書き換えられたようで転属は決定的みたいです。
221系の奈良区転入でさらに余裕が出れば現状207・321系を充当しているおおさか東線直通快速も奈良区移管で221系統一になると思っているのですが、まだわかりませんね。。。
205系は体質改善で207系並みにサービスレベルが引き上げられていますし221系とはシステム的に似ている部分も大きいので置き換えはない…と思いたいところですが、阪和線からの転用の際にあっさり中間車ユニットを潰して編成短縮してますからなんとも。。。
回答頂きありがとうございます。やっぱり221系でしたか。ムーンライトながら族さんが提供下さった記事を踏まえても、公式でのリリースがなかったのもそういう理由でしょうね。4扉車も残るということで。
逆に言えば、205系が置き換わる時にはリリースが出てきそうですね。過去のアーバンネットワーク圏内の車両の動きを見ると、京都・神戸線と学研都市線絡み以外では4扉車は極力減らす方向のように見えるので、205系があっさり置き換えられる可能性はあると思います。
別記事によると、新製車両の導入でなく既存車両で既存車両を置き換えたため、JR西のリリースはなかったとのことです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0513919571ee02a71ff6b175d389c55603d96d7f
やはり221系での置き換えでしょうか。それにしても「奈良線で221系を増やす」ぐらいのアナウンスはしても良いように思いますが(3扉車が増える意味でも)。この辺の実際の様子も中々出てこないのでJRの言う通りに理解し切れない部分はあります。
ということで私は、なぜこんな国鉄内でも異端ともいえる仕様にしたのだろう? 101系のMT46(100kw)でパワー不足なら、新標準のMT54(120kw)と101系の5.6かもう少し大きい6.0程度の歯車比を組みあわせではいけないの?と思っていました。そんな中、趣味誌(鉄道ファンだったか?)で103系の特集があり、それによれば山手線のように駅間距離が短い場合、言い換えれば低中速域の加速を頻繁に行う場合には、MT55の方が電気消費量が少なく経済的なのが理由とのことでした(うろ覚えです)。電気のことはよくわかりませんが、低中速での走行が中心なら低中速回転型(言い換えれば低中速回転時のトルクが大きい)の主電動機の効率が良いのはわかる気がします。
ここまでは納得しましたが、さらに疑問が出てきます。そうであれば、各駅停車向けでかつ駅間距離が短い線区向けの車両なら、京急の800系とか阪神のジェットカーもありますが、これらを設計する際、低中速回転型主電動機の採用は検討されなかったのでしょうか?また検討されたとすればなぜ採用されなかったのでしょう?この疑問に答えには出会っていません。ご教示いただけると嬉しいです。
ひとつ思いつくのは、103系の設計では経済性がとにかく追及され、これが走り装置については「必要最小限の加速力を最小の電力消費量で」ということになり、異端系列になっても車両数の多い国鉄なら少数多形式のデメリットは発生しないという判断があったということです。低中速の加速力重視といっても、103系のMT半々での加速力2.0km/h/sは、通勤車両としては国鉄内を除けば最小レベルと思いますが、電力消費量を考慮すれば効率が高かったのかもしれません
僕も世代ではないので詳しくは分かりませんが、103系の事情を調べてみたところ、やはり101系での反省を盛り込んだ結果の産物と言えます。
101系ではすべて電動車での使用が前提でしたがそれでは電気設備に大きな負担が掛かる為(国鉄工作局も電気局もこの点のチェックを怠っていたらしい)、付随車の連結を余儀なくされた。しかしこれではモーター車への負担が大きくなり駅間距離を取らなければならない。これらの反省点を踏まえて「経済的で大量生産できる車両」が求められた。国鉄でのシミュレーションの結果、起動加速度を高める必要はなくなり、出力の増強も見送った結果として103系が登場した、と言えるでしょう。
京急や阪神の方は中々資料が出てきませんが、起動加速度がどこまで要求されるか、というのは一つのポイントのような気がします(103系は起動加速度2.0km/h/s(一部例外あり)、京急800形は3.5km/h/s、ジェットカーは4.0〜4.5km/h/s)。
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%89%84103%E7%B3%BB%E9%9B%BB%E8%BB%8A
103系登場の背景をまとめていただきありがとうございます。こんなに簡潔に書けませんが、私も同様に理解しています。
2日の書き込みは、こうした事情で駅間距離が短い線区においてMT半々で加速度を2.0q/h/s程度の性能にする場合に、低中速回転型のMT55の方が高速回転型のMT54より経済的なら、M比がより高い(全電動車など)編成で高い加速度にする場合も同様ではなかったのかということです。それで京急の800系と阪神のジェットカーの設計を取り上げました。
今日あらためて京急800系と阪神ジェットカーについてwikiを読んでみると、後者は高速回転型の主電動機を採用していますが、前者は低中速型の主電動機を採用しているようです。2日に「国鉄内から私鉄まで含めても類例を知らず、代表例の反対です」と書きましたが、京急800型は類例であることを知りました。私が知らないだけで、他にもあるかもしれません。京急は並走する京浜東北線の103系を横目で見て「これは使える」と考えたのかもしれませんね。
>2日の書き込みは、こうした事情で駅間距離が短い線区においてMT半々で加速度を2.0q/h/s程度の性能にする場合に、低中速回転型のMT55の方が高速回転型のMT54より経済的なら、M比がより高い(全電動車など)編成で高い加速度にする場合も同様ではなかったのかということです。
僕個人の見解ではありますが、前身と言える101系に注目してみます。
101系の設計においては、単なる通勤電車ではなく、将来的な幹線電化による長距離優等列車の電車化において流用可能なシステムとする、という前提があったようで、実際に90系(→101系)の高速度試験の結果を受けて20系(→151系)や0系のような優等列車や新幹線が誕生したとされています。その点を踏まえると、私鉄車両のような純然たる通勤電車として製造することはできなかったのかもしれません。そのこともあり、高回転型のMT46形(量産車はMT46A形)モーターが開発されました。
その中でも101系については、加減速性能の向上を図って全電動車方式を採用して3.2km/h/sの加速性能を持たせる構想でしたが頓挫。その後、大出力モーターに回生ブレーキを組み合わせる高性能化を目指したものの、回生ブレーキの試験結果が芳しくなかったことで見送られ(モーターはMT54形として採用)、新たに低回転型モーターを開発して103系を製造した、という経緯のようです。
製造段階から、将来的な国鉄電車の技術開発の側面もあり、通勤電車だけでなく長距離列車としても利用できる要素を持たせる必要があった。その上で性能が求められる通勤電車の場合は全電動車でカバーする考えだった、という所でしょうか。
このような経緯もあり、国鉄ではカルダン駆動の電車について、当初「高性能電車」としていたものが「新性能電車」と呼ばれるようになっています。
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%89%84101%E7%B3%BB%E9%9B%BB%E8%BB%8A
私の疑問というか問いかけは、駅間距離が短い線区において低中速回転の主電動機が経済的に有利(合理性がある)なら、なぜ国鉄内や他社で低中速回転主電動機の採用が広まらなかったのか?ということです。これについては皆無ではなく、京急800系がそうらしいことは見つけましたが、波及の程度はわずかなように思います。
一方、ポストJRさんに示していただいたwikiの103系の記事には、国鉄車両設計事務所からの出典として、駅間距離を5kmまで広げても(こうなると近郊型の世界ですよね)、103系は @113系より消費電力は少なくかつ所要時間は短い、A101系にMT54を採用する架空形式とは五分五分、というデータが記載されています。これが正しいなら、低中速回転電動機が有利な線区は多く、113系などの近郊型車両に採用されていてもおかしくない気がします。
しかし現実にはそうなりませんでした。すでに配備されていた111系などとの併結運転に問題があるとか、定格回転数(定格速度)が低いので、20パーミル程度の勾配区間においては均衡速度が低い(その代わり113系や115系では厳しいもっと急な勾配でも大丈夫)、といった先々の運用の広がりを考えた場合の問題などがあったのかもしれません。
そして、大手でも国鉄に比べて桁違いに車両数の少ない私鉄は、京急や阪神を除いて急行系から各駅停車までカバーできる車両が適切と考え、他系列と動力部分の基本になる主電動機の性格が異なる車両を敬遠したのかもしれません。
同時代の大手私鉄車両をみると、国鉄のMT54(120kw)を超える大出力の高速型主電動機に、101系や103系と同程度の歯車比を組み合わせて、低速度域では103系を超える加速性能を、高速度域では大出力と弱め界磁で113系などを超える性能を与えている気がます。そして、この結果増える電力消費量対策として回生制動に早くから注目し、複巻電動機や界磁チョッパが広まったように思います。
「高性能電車」と「新性能電車」の使い分けですが、上記のように当時の国鉄車両は、大手私鉄の車両に比べて一番目立つ加速性が低い(103系の2.0km/h/sはまだしも、113系など近郊型の1.6km/h/s程度では73型・70系・80系などの吊り掛け駆動車両とあまり変わらない)ため、「これで高性能車?」との声が国鉄内外?であがり、「では旧性能車との対比として新性能車」になったと読んだ記憶があります。当時を知りませんが、こういう面もあったかもしれませんね。
個人的には、加速性能は今一つでも、他の減速性能、バネ下重量軽減、車体の軽量化といった性能は改善されているので、高性能車でもよかったと思いますが。
>国鉄車両設計事務所からの出典として、駅間距離を5kmまで広げても(こうなると近郊型の世界ですよね)、103系は @113系より消費電力は少なくかつ所要時間は短い、A101系にMT54を採用する架空形式とは五分五分、というデータが記載されています。これが正しいなら、低中速回転電動機が有利な線区は多く、113系などの近郊型車両に採用されていてもおかしくない気がします。
確かにMT55形モーターは性能やコスト面において、駅間が長い・最高速度が高い路線でも使用は可能なデータは示されています。実際に103系が京阪神緩行線や常磐快速線に投入され、後に高速運転に対応できるような改造を行った車両もあります。
どちらかと言うと問題は、阪和線や常磐快速線のように性能が異なる車両(MT54形を搭載した近郊型とMT55形を搭載した103系)が混在する環境での使用を許容できるかどうか、が大きかった気がします。ご指摘の通り、MT46A形モーターを搭載する111系との相性は考慮されても不思議ではありません。
車両面で言えば、国鉄が回生ブレーキの開発に成功していれば、それこそ103系も、そしてその後の国鉄やJRの車両の性能、モーターの開発も全く違った形になっていたでしょう。個人的にはとても興味深いifストーリーではありますが、試験結果も芳しくなく、財政難もあって車両開発に苦しんだ様子が伺えます。
ダイヤとあまり関係ない話が続くのも管理人様に失礼なので、この辺で一区切りとします。
しかしながら現実問題として、当時の国鉄に他社と協調・協力するという柔軟性があったかは疑問です。また、結局は価格の面で採用しなかった気がして、可能性にとどまるのではないかと思います。
結局、国鉄による電機子(主回路)チョッパ車と回生ブレーキの組み合わせは、10年以上後の201系(昭和56年量産車)になりました。この時国鉄は、難しいとされていた高速域から有効な回生ブレーキの開発に挑戦しましたが、成果は限定的だったようで、201系に続くのは地下鉄乗り入れ用で地上線でも高速運転の機会が少ない常磐線各駅停車用の203系にとどまりました。成果が限定的であれば、ただでさえ議論があった価格問題は看過できなかったでしょうね。
挑戦する姿勢は立派ですし、うまくいけば近郊型や特急型にもと考えていたのだと思います。けれども、電機子チョッパと回生ブレーキの組み合わせは中低速用向きと割り切り、201系を中央快速線ではなく山手線や京浜東北線など駅間距離が短い線区用に開発していれば、技術的ハードルが低くなって早期導入につながり、期待した成果も得られたでしょう。中央快速線には、4年後の昭和60年に山手線用に導入された205系を充てるのが適切だったでしょう。
今振り返ってみればのあと知恵ですが、残念な結果だったとは思います。手堅くやることが常に良いとは言えませんから選択は難しいものです。
車両の性能はダイヤ作成にあたっての重要要素の一つですので、管理人さんはこの記述を許してくれると思っています。しかしながら、ふさわしくないという考え方があることもわかりますので、この記述にコメントを頂けなくても仕方がないと思っています。
https://www.westjr.co.jp/press/article/2022/06/page_20140.html
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220609_03_haruka.pdf
ということで興味津々で乗ったのですが、期待を裏切らない加速力を見せてくれました。wikiの103系の記事には2.5q/h/sとありますが、実際には3.0q/h/sを越えている気がしました。少し大げさに言えばJRのジェットカーという感じです。(計ったわけではなくて感覚ですし、バイアスがかかっているかもしれません。皆様がどう感じられたのか、また計測されていればその結果をご教示ください)
強烈な加速は70q/hあたりまで続きますが、80km/hに近づくとこれまでの勢いがウソのように鈍ります。これはよく乗った田園都市線の8500系8M2T編成の80〜90q/hあたりの様子と似ています。そして減速もいかにも発電ブレーキが強力に働いているという感じで、後ろから引っ張られるようです。
そのうち置き換えの話が出てくるでしょうが、現行ダイヤの維持は難しいかもしれません。新規に導入される車両はMT半々でしょうから、加速度は多分2.5q/h程度。高速域の加速力で優っていても、各駅停車ばかりの運用なので、そこで挽回というのも難しそうです。現ダイヤが、停車時間などで余裕を取っていれば大丈夫でしょうが。
https://www.westjr.co.jp/press/article/2022/10/page_20978.html
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/221003_04_press_haruka.pdf
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231706fbca668d969515f68f0edec584.pdf
北陸DCに合わせて導入され、最初は小浜線、舞鶴線、京都丹後鉄道線、山陰本線を経由して敦賀〜城崎温泉駅間で運用されますが、その後は「季節毎に線区を変えて運行」される予定です。
キハ189系を改造する、とのことです。「はまかぜ」「びわこエクスプレス」への影響は大丈夫なのでしょうか(現在の運用パターンが分からないので何とも言えませんが)。