オフピーク定期券の対象となるのは、首都圏1都3県の電車特定区間内で完結する区間。現在よりも約10%値下げした額になるという。平日朝のピーク時間帯に改札から入場すると、定期外の利用という扱いになって、IC普通運賃が必要になる。ピーク時間帯は駅によって異なり、現在の「オフピークポイントサービス」を基本として設定されるという。同サービスが規定するピーク時間は、各駅毎にもっとも混雑する朝ラッシュ時の90分間となっている。
一方で、通常の定期運賃は1.4%の値上げとなる。JR東日本としては、これによりオフピーク定期券移行への減収分を補う考えで、全体としての定期運賃収入は増えないとしている。ここから計算すると、定期券利用者の少なくとも12%がオフピーク定期券に移行すると見込んでいることがわかる(ここには元々ピーク時間帯を利用していない人も含む)。
なお、JR東日本は2023年3月から、「鉄道駅バリアフリー料金」の導入を予定していて、通常・オフピークのどちらにも同じ額の料金(1か月の場合280円)が加算される。
ちなみに通学定期は対象外で、値段は現行と変わらない。
これを報じた毎日新聞によると、対象駅の平日朝ピーク時間帯の利用者は1日あたり70万人強で、JR東日本はそのうち5%にあたる約3.5万人がオフピーク時間帯にシフトすると見込んでいるという。
ここから私見です。いよいよ本格的な時差運賃の導入ですが、JR東日本の見込み通りピーク時利用者が5%減るでしょうか。それには、企業側が業務時間をずらす必要がありますが、社員の交通費1割強削減というインセンティブに果たして反応があるかどうか。ただ、JR東日本としてはシフトする人が少なければ、通常定期の値上げで増収となるのでそれでいいのかもしれません。
(JR東日本)
https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220916_ho01.pdf
(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220916/k00/00m/040/207000c
この情報は、ライジングさんからいただきました。ありがとうございました。
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コメント欄への情報提供かつダイヤ以外の情報にもかかわらず単独の記事を作成していただきありがとうございます。
さて、ここでこれまでの経緯に関し少々説明させていただきます。
昨今のコロナ禍による減収等を踏まえ、鉄道運賃,料金の現行制度における課題等を議論する国土交通省交通政策審議会小委員会が設けられ、その第2回において、ヒアリングを受けたJR東日本が「早期の実現を要望」としていたのがこの「オフピーク定期券」でした。
第6回で一部委員から(管理人様の私見と同様に)想定ほどピークシフトが進まないことによるJR東日本の儲かり過ぎを懸念する意見も上がりましたが、JR東日本に説明責任を果たさせるということで落ち着いたようです。
そして第8回で示された中間とりまとめでは、オフピーク定期券も「現行制度の運用の改善・工夫等で実施可能」とされ、例として「運賃・料金の値上げと値下げを組み合わせ、全体としては増収にならないような新たな運賃・料金の設定については、一定期間経過後に増減収の状況を検証し、結果を踏まえて必要な措置を講じることを条件に認可すること」等が挙げられておりました。
国土交通省は東急や近鉄の運賃値上げ申請を認可するにあたり、改定後3年間の総収入と総括原価の実績を確認することとしております。
上記の例や先述の中間とりまとめの内容等を踏まえると、今回のJR東日本定期運賃改定認可に際しても似たような措置が取られるのではないでしょうか。
※ここまでの参考資料:下記(1)〜(7)=いずれも国土交通省ホームページより
(1)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_arikata02_past.html
(2)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001466286.pdf
(3)https://www.mlit.go.jp/common/001476215.pdf
(4)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001485037.pdf
(5)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001493180.pdf
(6)https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001476767.pdf
(7)https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001510096.pdf
最後になりますが、運賃,料金の改定や「鉄道駅バリアフリー料金制度」など、運賃,料金関連の情報は「東急が2023年に運賃値上げ『全体で十数%』。近鉄、JR四国も検討」のコメント欄に紹介しておりますので、そちらも併せてご覧ください。
ここまで長々と失礼しました。
非常に重要な情報が一つ抜けておりました。
国土交通省の「運賃収入の増加を目的としない運賃の上限の変更に関する処理方針」です(下記(8)=同省ホームページより)。
(8)https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001513398.pdf
つい数日前に出されておりました。
今回のJR東日本の認可申請に関しても上記(8)に基づき認可の手続がなされるものと思われます。
(1)https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo02_hh_000179.html
(2)https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001580739.pdf
・上記認可を受けたJR東日本が来年3/18からの「オフピーク定期券」サービス開始,通勤定期運賃改定等に関し下記(2)にて発表(下記(3)は「オフピーク定期券」に関する特設サイト,下記(4)は各駅ピーク時間帯一覧,下記(5)は運賃改定に関する特設サイト)
(2)https://www.jreast.co.jp/press/2022/20221227_ho01.pdf
(3)https://www.jreast.co.jp/offpeak_teiki/
(4)https://www.jreast.co.jp/offpeak_teiki/pdf/peak_time_search.pdf
(5)https://www.jreast.co.jp/unchin-kaitei/
※上記(4)によると、JR東日本東京電車特定区間内各駅のほか、「東京臨海高速鉄道」の全駅,「相模鉄道」の新横浜以外の各駅,「東京メトロ」の中目黒,代々木上原,和光市,渋谷(半蔵門,副都心),目黒以外の各駅,「東武鉄道」の東武スカイツリーライン浅草〜春日部間,亀戸線,大師線の各駅にも「ピーク時間帯」が設定されている模様。
https://www.jreast.co.jp/press/2023/20240305_ho01.pdf
※上記によると、「2024年10月より『オフピーク定期券』の値下げも予定」、などとのこと。