2025年05月07日

[葛飾区]新金線旅客化の事業化検討。LRT化のほかBRT化についても調査

 東京都葛飾区は、新小岩と金町を結ぶJRの貨物線「新金線」の旅客化に向けた事業調査を行い、2025年5月にその中身を公表した。
 調査は、大きく分けて3種類のケースを想定。
 1種類目はLRT化で、既存の貨物線を利用して一部複線化した路線を3セク会社が整備するもので、総事業費は450〜800億円。B/C比は1.2〜1.6。ただし、30年後も累積収支が黒字転換しない。
 2種類目もLRT化で、既存の貨物線に併設した単線路線を新設するもので、上下分離され整備費用は区や国などが負担する。総事業費は700〜800億円。B/C比は0.8〜0.9。
 3種類目はBRT化で、既存の貨物線に併設した専用自動車道を区などが整備するもの。総事業費は320〜560億円で、B/C比は1.1〜1.7。
 運行本数はLRTでのプランが、ピーク時毎時8本、オフピーク時毎時4本。BRTでのプランがピーク時毎時10本(連節バスを想定)、オフピーク時毎時6本。
 途中の駅数はいずれも10を想定。
 建設費用に幅があるのは、途中の国道6号との交差点(現状は踏切)を高架化するかどうかなどの問題があったりや、BRTの場合は専用道路を建設する距離の違いで2案が存在したりするからだと思われる。
 この調査は、区の新金線旅客化検討委員会が実施したもので、委員にはJR東日本、JR貨物、京成電鉄などが加わっている。
 ここから私見です。JRが加わっているせいでしょうか、採点というか算定が厳しめだなと思いました。BRTプランが含まれているのはユニークですが、こちらは京成が参加しているからでしょうか。この採点通りだとBRT化が最有力だと見えますが、地元はそれで納得するのでしょうか。地元メディア「葛飾つうしん」によると、区はこれから地元説明会に臨むようですが、この調査をもとにどんな説明をするのか、どんな方向を考えているのか、注目していきたいと思います。

https://www.city.katsushika.lg.jp/planning/1030243/1003616/1023798.html
posted by Uchio at 21:40 | Comment(13) | TrackBack(0) | ニュース はてなブックマーク - [葛飾区]新金線旅客化の事業化検討。LRT化のほかBRT化についても調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
管理人様、記事ありがとうございます。

本件ですが、今年3月から、京成バス東京(旧京成タウンバス)と京成バス(金町営業所)が、
「新金02」という系統を新設しており、その運行ルートを見ると、
葛飾やすらぎの郷バス停〜稲荷神社バス停間で新金線とほぼ並行となっており、
系統自体も金町駅と新小岩駅を結ぶものとなっています。

ところが、同系統を実際に利用したという方のSNS投稿を見ると、
系統新設にあたっては両社がそれなりに告知したにも関わらずあまり賑わっていないようです。
となると、仮に新金線を旅客化したとして、LRT・BRTどちらを採用したとしても、
そもそもの需要があるのかどうか、事業調査通りの利用が見込めるのかどうか、
即ち、同じ区間を一般バス路線からLRT・BRTに置き換えることで、利用が劇的に増えるのかどうか、疑問が浮かんできます。

趣味的には、同じ線路を貨物列車とLRTが共有するのは面白そうだと思うのですが、
いざ開業しても赤字垂れ流しになれば区に批判が殺到するのは火を見るより明らかですので、
地元の意見もよく聞いて判断してほしいと思います。
Posted by なな at 2025年05月07日 23:06
ケースA〜Fを作成した意図を想像すると個人的には面白いです。
お金のことを何も考えなくてただ良い立派なものを造りたければケースAでしょうけど、これは所謂かませ犬ですね
(最もコスト高で実現性が低いケースとして作成された印象)

ケースFは最も安いけど定時性が低くケースAとは別の意味でかませ犬のような印象です。
(いくら専用道の部分があっても金町駅付近が一般道を通るバスなので定時性に極めて難があります)

とは言えケースFはバス路線性が高く、一般道を経由して金町や新小岩から先まで拡張できるのであれば悪い点ばかりではないと思います。
例えば新小岩駅から先(新小21系統と同じルートで)船堀駅まで延長、金町駅から先は(金61系統と同じルートで)八潮駅方面に延長して「八潮〜金町〜新小岩〜船堀」の系統が設定できれば、TX・常磐線・総武線、都営新宿線を結ぶ乗換路線の多く利便性の高いBRTになります。(新小21系統・金61系統いずれも運行本数多いでので、道路等の諸事情が許せばBRTに取り込む価値あります)

ケースB、Dは毎時4〜8本も列車が通過するのに国道6号線を踏切で遮断してしまうのが難点だと思います。
(ケースEも平面交差だけどBRT=いわゆるバスだから遮断時間も短く通常の信号と同じに考えて良いので、国道6号に及ぼす悪影響はケースB,Dよりは少ない印象)

ケースA〜Fいずれでもない可能性もありますが、この中ではCまたはEのどちらかが採用される可能性が高いというのが個人的な印象です。
(約700〜800億の予算が確保できればケースCが最有力で、確保できなければ次候補としてケースE)
Posted by E657 at 2025年05月08日 23:22
 すでに線路はあって貨物列車が運転されているのですから、最低限のインフラは備わっているはず。電化せずにJR東で実績のある電気式ディーゼル車とかハイブリッド車の運転とし、ホームは2両分程度にすれば、金がかかるのは金町と新小岩のホーム設置くらいで、工事費をぐっと下げられると思います。
 距離が短く高低差もないので、烏山線の急速充電式が向いてるかもしれません。
Posted by Bangkok at 2025年05月09日 19:43
 そもそも電化していましたね(笑)。失礼しました。
 複線化のための用地を活用するBRTとかLRTということですが、貨物列車の運行本数は少いでしょうし、線路をさわるのは金町と新小岩、そして交換施設くらいにして、電車!を走らせられないでしょうか。
 既設線路を走るとなるとJR東は嫌がるでしょうが、多分懸案になっている国道6号踏切の立体交差化とセットで話ができないかな。
Posted by Bangkok at 2025年05月10日 07:12
 単純に調査結果だけ見ると、B/Cが1以上なのはケースA.B.E.F、A.Bは黒字転換できないので除外、Fは定時性がないので除外とすると、Eが着地点かなと見えてしまいます。
 ただJRが絡んでいるために数字が厳しめでありますし、宇都宮のようにLRTが大成功する可能性も0ではありません。
 沿線にも起点終点にも集客できる施設は無く、通過利用も見込めず広域集客もできないが残念です。
Posted by aki at 2025年05月10日 09:44
aki様

>沿線にも起点終点にも集客できる施設は無く
この点ですが、将来的にはそのような施設が誕生する可能性があります。

葛飾区には「南葛FC」というサッカーチームがあります(関東リーグ所属)。
このチームは現在、Jリーグ参入を目指して活動しているのですが、Jリーグ参入のためには、
成績はもちろんのこと、諸要件を満たして「Jリーグクラブライセンス制度」に基づく資格を付与される必要があるそうです。

この際、要件の一つとして挙げられているのが、「規定を満たすスタジアムを有していること」です。
そこで地元の葛飾区では、将来のJリーグ参入を見越して、
新小岩駅近くにある「東新小岩運動場」に、スタジアムを整備する構想を立てています。
https://www.city.katsushika.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/032/972/070315_juminsetsumeikai.pdf

もし、南葛FCがJリーグに参入し、スタジアムも完成すれば、新金線はサッカーの試合がある日や、
スタジアムでイベントが開かれる日には、沿線住民以外も含めて多くの方に利用される可能性があります。
ただ、日常利用となるとやはり微妙だろうなというのが私の見立てです。

Bangkok様

新小21系統は都営バス、金61系統は京成バスですので、
BRTに取り込むとして、どちらが運行を担うのか、運賃の差はどうするのか、など、別の問題が生じそうな気がします。
Posted by なな at 2025年05月10日 16:45
ななさん
 既存の施設を活用して追加投資は最小限にする、また、JR東や貨物の協力があれば費用が効果的に節減できるところ(例えば金町駅構内のスペース)は協力してもらう、の2点が大事だと思っています。ですので専用道路を新設するBRTは推しません。
 内容は違ってもあれこれ協力や調整が必要なのは、どの案でも同じなのですね。
 
 
Posted by Bangkok at 2025年05月11日 00:17
少し付け加えます。
 新金線には1日に何本くらい運転しているのでしょうか? もし10本とか15本で、1,2時間に1本しか走っていないなら、この線路の有効利用は有意義です。しかしこれを活用せず、用地があるからといって横に線路や道路を新設するのは、もったいないというか、なにそれ?という感じです。
Posted by Bangkok at 2025年05月11日 18:56
Bangkok様
2025年3月改正での新金線ダイヤは、定期貨物列車が1日3.5往復だったと記憶しています。
他にJR東日本の事業用列車(レール輸送など)が不定期に走っています。
ただ、全線単線であることから、検討委員会が示す本数を確保するためには、
交換施設の建設や一部複線化が不可欠である、ということでしょう。
Posted by なな at 2025年05月12日 18:12
ななさん、コメントありがとうございます。
>全線単線であることから、検討委員会が示す本数を確保するためには、交換施設の建設や一部複線化が不可欠である、ということでしょう。

 6km余を貨物が走ると15分から20分程かかるでしようから、交換施設は必要です。そして用地節約のために金町と新小岩を1面1線にすると2駅のそばに交換施設は必要でしょうから、中間を含めると3カ所ほど必要だと思います。

 けれども区の資料の平面図をみると、共用案ですら半分以上の区間を「線増」するようです。この構想のスタートは、使用頻度が少ない貨物線(ななさんの書き込みでは3.5往復+)の有効利用だったと記憶していますが記憶違いかな……そしていつの間にかJR東と貨物の現在の運行に影響を与えず、金町では既設施設にもさわらないのが前提になっている気がします。アピールポイントが既設線路の有効利用ではなく、遊休化した用地の使い方に変わったのかな?
Posted by Bangkok at 2025年05月12日 21:23
並行して半蔵門線延伸計画線と京成があるので、金町線改修と松戸延伸で松戸線と相直した方が効果が高いと思います。
流鉄運営の新金線とするのも面白いかもしれませんね。
Posted by 坂本金八 at 2025年05月16日 16:16
地元説明会に出席したという方から、お話を伺いました。

それによると、各案の概要やメリット・デメリットの説明はあったものの、
区としてどの案を念頭に進めていくのか、など、突っ込んだ話がなく、
その方曰く「やる気がなさそうで、実現は遠そうな印象を受けた」とのことでした。

そんなわけで、この件がすぐに動くとは考えづらい状況です。
事業化するにはそもそも、金町〜新小岩間の旅客流動がそれなりにないといけない、と個人的には思うので、
まずは既存のバス路線「新金02」の利用促進に励み、同系統が恒常的に混雑するようになったら、
採算が取れるものとして再検討、で良いような気がします。
Posted by なな at 2025年05月25日 11:07
新金線に関して、マイナビニュースに参考になる記事が載っています。
https://news.mynavi.jp/article/20250614-katsushika/

なお、新金線と並行するバス路線「新金02」ですが、利用がふるわないらしく、
普段は中型車での運行ですが、小型車が投入される日もあるようです。
そうなると、仮に実現に向かうとしても採算性の面で問題があるかも知れません…。
Posted by なな at 2025年06月15日 11:24
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